2016年4月22日金曜日

ミュートボタンの押し方より言い方:メンツの保ち方

メンツを保つという話です。そして、アメリカで学ぶことになるとは。。。笑いが止まりません。


前の仕事では、正しいと思ったことを言うのは正しかった。それがどの職位の人だろうと、クライアントのバリューにつながるなら、正当化される文化だったように思う。例えば、パートナーがクライアントプレゼンで間違ったことを言ったり、議論自体がちょっとおかしい方向に行っていると思えば、アナリストがステップインすることは普通にあったし、それ自体は感謝されることだった。

一方それを当たり前だと思ってたことは。。認めないといけない。頭ではそうでないと思ってても、「いや、でも正しいことやってるしな」という感覚が身体のどこかにあったんだろう

学校のプロジェクトでのクライアントミーティング(電話)で、クライアントが明らかに追いついてない(=時間をとって資料を眺めたい)雰囲気を出しているのを感じた。一方、チームメートのプレゼンターは細かい分析の設計の説明をしだしたので、クライアントの不安感マックス。私はらはら。。思わず、「すいません、ちょっと一瞬ステップバックしたいんですけど、なんか気になることとか、教えていただけますか。全体的なことでもいいし、分かりにく分析のことでもいいし。この資料に基づいて今後チームが動くつもりなので、しっかりあなたと議論したいと思ってるんです。。。」と突っ込んだ。

クライアントはそこで時間をとって資料を見て、気になる所を突っ込んでくれたのでそれは良かった。自分としては、結果としてクライアントの納得のいく合意にたどり着いたので、「やってやった」達成感もあった

しかし、後日のフィードバックセッションで面白いラーニングがあった。私がもらったフィードバックは、「ミュートボタンを使え」だった。プレゼンターの言い分としては、自分も一旦立ち止まって話すつもりだったし、もしそういうコミュニケーションをしたいなら、コールをミュートして私(プレゼンター)に伝えて欲しかった。ということだ。

ふむ

なるほどなーという感じだった。私の古い価値観なら、それ誰が言っても一緒じゃん。むしろ絶対ここでコミュニケートされるべきと思うなら、なおさら誰がいうかよりも、いついうかが大事やん、よな。ただ、おそらく「ステップバックして」という一言が、彼女の自尊心とメンツを傷つけた可能性が高い、というのが今の段階での大きな仮説だ。よくよく彼女の働き方を見ていると、彼女は小規模の会社ながら前職でマネジャーまで行っているので、チームをマネージする、ことに対する自信がある。そこに、「いやお前全体感ないで」というメッセージが垣間見れるようなコミュニケーションをすれば、反発されるのは当たり前よな


おそらく圧倒的に私がここから学ばなければいけないのは「ミュートボタンの使い方」ではなくて「言い方」。だれかの仕事を取った、という印象を与えずに、価値を出さなければいけない。そしてそれに、今までで一番慎重にならなければいけない。チームメンバーが多方面で才能があるのはわかっているし、みんなスマートなので、彼らのやる気と才能を削らずにバリューを出す方法を考えないといけない。そして、型にはまったコンサルティングのやり方では、きっとそれはできない気がしてきた









2016年4月12日火曜日

IBD中国 コンサルティング技術より働き方

IBDという、学校の看板授業を取っている。内容はいわゆるコンサルティングプロジェクトで、実際のクライアントに対してコンサルティングサービスを提供する。課題はチームそれぞれで、私のチームは中国に行く予定だ。まだ始まったばかりだけど、おそらくちょっとはストレスがたまるんだろうなあと思った。一応コンサルティング出身である。4年弱自分が覚えて学んできた「哲学」や「やり方」を、全然違う方法で学びなおさせる(変な日本語だけど)って、相当気持ち悪い。加えて、手前味噌にも世界最高と言われていた手法を近くで見てきたはずである。「これ、違う。。。」と思った瞬間に混乱からうぎゃーっとストレスが爆発するに違いない。

じゃあそもそもそんな授業取らなければいいじゃないか、ってその通りである。そもそも、コンサルティングをここで学ぶ気なんてない(語弊がないように、コンサルタントとして学ばなければいけないことは勿論山ほどあるが、それは少なくともここではないということ。。)私が学びたいものはその外側にあるはずなのだ

1)コンサルティングという手法に馴染みがない人たちと、いかにうまく働くのか
プロジェクトという形でこれを体験してみたい。コンサルティングじゃないキャリアの方が、人生全体で見たらきっと長いはずである。事業会社やそれに準ずる組織に入った時に、どうやったら効率的に(=ストレスレスに)働けるのかは、今のうちに覚えなければいけない

2)チームの中で、どうやったら軋轢なくバリューが出せるのか
1)の状況になってしまった時に、私がまずしたのは議論・もしくは手法を独占してしまうことだった。少なくとも秋学期は。自分が一番効率的と思う方法に動かして、そこに乗って動いているうちは放置する。。という皇帝みたいな働き方をした。結果的にチームに感謝されたりしたんだけど、それって非常に危険な匂いがする。こいつ気に入らねえと思われた瞬間に抹殺されるマネジメントスタイルにちがいない。他にリーダーシップをとりたい人がいた時に、どうやって最終バリューにつなげるサポートができるのか、どうやったら結果的に全体最適を取れるようなリーダーシップを発揮できるのかは、学ぶに値するんだろう

3)中国で自分のままのパフォーマンスが出せるか
これは、仕事でも体験したけど結構しんどい。英語だって微妙なのに中国語だ。今ここに対する答えはないけど、いつか中国に関わる仕事がしたいならば、避けて通れない道なんだろう。それをリスクフリーに体験できるなんて、いやいやすみません状態である。

と、いろいろ学ぶことは多いはずなんだ。だから、これからいろんな意味でストレスフルな状況に自分をつっこもうとしている自分に対して、応援してやりたい(何様)。これらのうちいくつかを学べただけでも、きっと将来意味のある経験になるはずだから




お経のようなプレゼンテーションの後で

これはなんだろうと。

取っている授業の一つに、マーケティングダイレクターがいろんな会社からきて好き勝手喋って帰る授業がある。(授業というか、Speaker Seriesと呼ばれるもので、その名の通りこちらは聞いて質問するだけである)マーケティングの人だったらプレゼンうまいだろうし学ぶことありそう、かつ積極的に質問する練習に取ってみよう、と気軽に取った授業の一つだった。

まあ予想通り、プレゼンはうまい人が多いかも。ただ学びはそこよりも色々人生の教訓だったりする。それなりの修羅場をくぐってきた人々なので、たまに鉛のような玉を投げてくることがある。「誰かと対峙する前に、それって本当に正しいと思って言おうとしているのか、自分に対するエゴなのかをちゃんと考えた方がいい」、ってもはやマーケティングとか関係ない。期待した通り、質問も色々できるし、ディスカッションに切り口を与える(ということを少なくとも考える)という意味ではとっても勉強になる

ところが、前回のスピーカーでおかしな出来事が起こった。なんと、話が全く頭に入ってこない。「いかん、集中しなければ、質問できひんくなる。。。」と思って自分を授業の中に引き戻そうとするも、意識がふうっ。。。と飛んでいく。一切頭に入ってこない。別にプレゼンが下手かというとそうではない。疲れているのかなーと思いながら、一生懸命目の前のスピーカーを食い入るように見つめるが、尋常じゃないくらい一切頭に入ってこない。

ここにきて、「はて。。。」と思い直した。これって私が悪いのか?一回彼が話していることを聞くのをやめて、「プレゼンテーション」という商品として、じい。。。と彼を観察してみた。そこで、どうして自分が集中できないのかわかってきた


1)スライドがシンプル(すぎ)
彼のスライドは、非常にシンプルで、真っ白なスライドに一行、お経みたいな何かが書いてあった。(Integrate sales and marketing みたいな) 別にそれ自体は別に悪くないし、そういうスタイルもあるかと思うが、何が話されるかわからない状況でいきなりこれがくると、「何の話??」となる。繰り返すが、これがオーディエンスを引き込む手法の一つにもなり得るので、まあこれはそこまで深刻ではない

2) 何がポイントかわからない抑揚
これや、これ。彼はよどみなく自信たっぷりに話すんだけど、声に抑揚がない。ポーズ(静止)もない。したがって、結局何が大切なのか、がわからない。そして、1)との相乗効果でこれが今までにみたことのない効果を発揮した。まず、何が話されるかわからない状況で、かつ何が大切なのか何を強調したいのかがわからない、ので結局「なんだったんだ??」となってしまい、気づいたら次のページのお経を読まされていた。

これって、結局なんだったのかわからなかったプレゼンよりも、よっぽど大事なラーニングやろなと思った。シンプルなスライドは、それを補うプレゼンテーションで初めて本来の威力を発揮する。もしくは逆も然り、スライドが補う威力を、プレゼンテイターは軽んじてはいけない。

一応、クラスメートからも一切質問が出なかったことから、「はて。。。」となっていたのは私だけではないことを言っておこう。しかも、彼ほど偉くなってしまったら、「あのさー」と指摘してくれる人もいないんだろうな