2016年5月11日水曜日

複数言語の習得:獲得と自動化

どうやったら。。。と聞かれることが急に多くなったので、本当にニーズがあるかはさておき、ふと言語習得に関して書き残して置きたいと思った。あくまで、一切帰国子女じゃない・ネイティブじゃないどめの日本人を対象として

自身は日本語(関西弁)、英語、中国語を、一応「仕事で使ってね」と言われても「う。。はいはい」というレベルで話す。もちろん十分かというと、それぞれが母国語の人々には「なめてんじゃねえ」と怒られてしまいそうだ。だが、レストランで注文するレベル以上に「人に意思を伝えて、議論する」レベルに持ち上げるには、特に帰国子女ではない(大阪の田舎生まれ育ちなので、外国人と触れ合う機会はほぼ20年ほど皆無)からこそ、辛い思いをしたし、今でもしている(特に3つめに手を出したあたりから加速度的に。。)そしてその過程で「学び方」にはこだわりができた。もちろん言語習得方法は人によって合う合わないがあるので、もしこれから他言語を学ぼうとしている方の参考にしていただければ、と思って呟いておくことにした。

私にとって、言語習得は1)獲得 と2)自動化。それがゆえに「取り合えず海外に行ったら話せるようになる!」とか「やっぱり言語は単語や!」という考えには若干抵抗がある。

1) 獲得
これは、文法と、単語だ。「なんや、当たり前のことすらっと言いおんな!」とおっしゃる方がいたら、へえ、すいません、というしかない。文法は、やはりきちんと学んだ方が良いというのが私のこだわりだ。それぞれの言語にはルールがあって、そこで試合をするならばそちらのフィールドのルールを学ばなければいけない。「伝わればいいじゃん」というのは、わかるんだけど、そもそも基本的なルールを知っていてあえてルールに沿わないのと、ルールわかんないからがむしゃらに伝えてみるのは、個人的には結構違うと思っている。加えて、ルールを知っていると、2) でのジャンプ力が違う。文法がわかるから、自分で文章を組み立てることができて、それを試して、エラー(実用されている文法とそうでないもの)をチェックする、というサイクルが、効率的に回りやすい。単語も、くそ難しい単語を学ぶ必要はない。が、普段自分が一番使っている言語でよく使う単語は、他の言語でも言えた方がいいというのが私の考え方だ。

2)自動化 = 仲間入り
自動化、というのは、上記で獲得したものが、「考えずに口から出てくる」状態にすること。例えば、Would you like xx? って、文法的にはもちろん何を意味するのかを理解しているし、組み立てることもできる。(まず want = would like、疑問文だから助動詞Would が前に出て。。。うんぬん) しかし、だれかに「xxいる?」って聞きたい状況にふいになったときに、反射的にそのフレーズが出てくるかどうかは、それが自分の中で自動化されているかによる。自動化したらそれはもう組みたれられた文章ではなくて、ほぼ一個のかたまりになっている。

そしてこの自動化は、まずは組み立てて、話す、ことによって始まる。だからこそ、1)がないと成り立たない。自動化されているパーツが、全体の表現の中で割合的に増えていくと、アドリブ(=新しく自動化仲間に入れたいフレーズ)の部分が少なくなるので、話すときのストレスが圧倒的に減っていく。

加えて、1)がある程度貯まらないと2)で加速できないので、言語習得のレベルは階段状になりがち。ほんで嫌になりがち。ただ、ある程度2)が進むと、そっからはぐいーーーっと上がるイメージだ。アドリブが比較的少なくなりあんまり辛くなくなるからか、よく話すようになるからだ。個人的にはこのブレークスルーがたまらない


海外に行ったら話せるようになる!というのに若干懐疑的なのは、1)がない状態で2)をやろうとしても、結局自分が自動化できている部分でしか話さないし話せないので、自動化の幅は広がりにくい。(かなり極端な話をすると、that's rightみたいなのを繰り返すばかりになる)一方で、文法や単語だけ練習し続けても、実際に話して「自動化」しないと、一切会話に出てこない。


Internalizeという英語があるらしいが、感覚としては、まさにこれやなと最近思う。「こいつは自動化仲間入りや」と感じるまで、くどいまでに繰り返して、繰り返して、繰り返す。たまに周りに「なにそれお気に入りなの?」と言われることがあるのはこのためだ。
また、自動化仲間入りしても、かまってあげないとすーっと逃げていくので、適度にお手入れが必要だ。



とはいうものの、言語ってやっぱり難しい。とくにそっち方面にめちゃくちゃ才能があるわけでもないのに、状況が状況ゆえに学ばざるを得なくなり、毎回苦悩を味わっている。でも、言語は可能性をくれる。そういった意味でも、解りやすいご褒美がある学びじゃないかと思う。

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